私のいる学科の名前は数理情報工学科というのですが、ここではプログラミングをはじめとする情報工学の基礎に加えて、数理最適化、物理現象の数理モデル化、画像処理・解析、確率統計解析等といったデータサイエンス的なことも勉強しています。
インターン先にかっこのデータサイエンスを選んだ理由もそうですが、この中でも私は、統計や数理最適化等の、”情報から知識を作る”ということに興味があり、計算知能の研究室に入りました。
計算知能というのは、人工知能が人間の脳の知的な働きをモデル化したもに対して、群知能や遺伝アルゴリズムなどといった生物全般による知的な活動から着想を得た計算モデルの総称です。コンピュータ(ハードウェア)の進化に伴い、様々な分野で使われるようになってきていて、最近の話題でいうとブラックホールの撮影でも、スパースモデリングという計算知能的な技術が使われています。
採用されて最初の一か月と少しの間は、実務ではなくいわばトレーニング期間で、PythonやSQLをはじめとする業務で使う知識を叩き込まれました。
それが終わるといよいよ本人の希望も踏まえて実際のプロジェクトにアサインされるのですが、私が今までで一番大きくかかわったのは、建材生産工場の生産計画を数理最適化を用いて作成するというものでした。
生産計画のモデル化に始まり、計算に使うためのデータの整形・データベースへの投入、計算スクリプトのコーディングやテスト、クライアントへ説明するための資料作成等々、エンジニアっぽいものから本当にインターン生がやってもいいの?と思うようなものまで、様々なことをしました。
また、プロジェクトにいつも残り作業があるわけでもないので、他プロジェクトの開発サーバーの環境構築、データ処理の手伝い等も行いました。
働くとはどういうことなのかを、インターン生でありながらかなり深いところまで体験できたのはとてもよかったです。
最初の質問で、情報工学の基礎を勉強していたと書きましたが、プログラミングやデータベース言語については、大学で勉強していたので、Python や SQL を実際に使ったことはなかったですがかなり学習コストが低かったと思います。
また、ソフトウェア工学についても勉強していたので、プロジェクトの大きな流れや、複数人でプロダクトクオリティのソフトウェアを作っていくときに気にしなければいけないことを知っていたのは、有利だったように感じます。
逆にデータサイエンス的な部分、数理最適化や確率統計解析に関しては、問題を解く方法に関しては勉強していたのですが、実務ではその前段階の問題を作る部分がより重要で、あまり大学の勉強が役に立った感じはしませんでした。
両立が難しいようにも見えるかもしれませんが、私の場合は学業と仕事は相互にいい働きをしてたため、大変なことはありませんでした
前の質問でも書いたように、大学で学んだことは様々な点で生きていましたし、それだけでなくインターンでの実務経験は、自分の学んできた知識を現場ではどのように活用するのかを体感でき、体系的に理解する助けにもなりました。
例えば、さっきあまり大学での勉強が役に立たなかったと書きましたが、大学の講義で扱う数理最適化やオペレーションズリサーチの問題はすでに答えがわかっているものなので、実問題を数式に落とし込むという作業はインターンに行って初めてやりました。そのおかげで、数理最適化の全体像が講義を受けるだけよりはっきり見えるようになりました。
さらに私の場合は、かっこのインターンが直接的に単位そのものにもなりました。
理系大学にはよく、インターンに行くことで単位を取得できるというものがありますが、私の場合は学部での必修単位で、10日間のインターンに行かなくてはならず、その旨を部門長に相談したところ、快諾してもらえました。
給料をもらいながら実務スキルを磨いて、さらに単位まで取得できる、まさに一石三鳥です
大学の単位になるインターンを探している人にも超オススメです(笑)
かっこ株式会社のデータサイエンス事業部のインターン生。主に数理最適化に関するプロジェクトを担当。現在学部四年で論文執筆中。大学院進学予定。