地方創生の新たなモデルをつくる。最年少市長がインターン生と描く地方市政の未来。
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地方創生の新たなモデルをつくる。最年少市長がインターン生と描く地方市政の未来。

大阪府四條畷市長 東 修平

――大阪府四條畷市長 東 修平
昭和63年大阪府四條畷市生まれ。京都大学大学院修了後、国家公務員試験(理工I区分)をトップの成績で突破。外務省に入省。TPPなどの自由貿易協定の交渉業務に携わった後、野村総合研究所へ転職。その後市政へ。現職では最年少、史上では2番目に若い市長として28歳で2017年1月に初当選。

 

―― 四條畷(しじょうなわて)市とは
大阪府東北部にある人口約5万6,000人の四條畷市。市域の約3分の2を北生駒山地が占める閑静な街でありながら、都市部まで電車で約20分の利便性も併せ持つ“都心に近い緑溢れる住宅地”として高いポテンシャルを有する。

生まれ育った街、四條畷を改革していく

私が28歳という年齢で市長に当選することができたのは、市民の皆様が「変わること」を期待し、選んで下さったのだと思っています。安定性や堅実さではなく、この若造に市を託せば、何か変わるのではないか?そんな期待が込められた当選だったと考えています。

 

四條畷市の現状について、触れさせていただくと、四條畷市は、経済状況(産業・個人消費のレベル)は全国でも下位に位置し、将来の働き手となる14歳以下の人口は過去5年間で15%減少しています。

 

つまり、予断は許されない、前に進むしか無い環境です。逆境に同情されるケースもありますが、私は全くネガティブに捉えていません。現状、後退の一途を辿っているわけですから、攻め続けるしかない。市をただただ、よくすることだけ考える。それも抜本的に。やるべきことはシンプルです。

 

市長になったそもそもの動機として、外務省でのキャリアが大きく影響しています。国で働いてみると、そのあまりの規模の大きさに「このスピードで日本を改革していくのは非常に困難」と感じ「これからは、地方から日本を変えていかなければならない」という強い想いが芽生えてきました。

 

ただ、これまで省庁で働いた経験しかなく、民間企業でも知見を深めたい。そう考え、入社したのが野村総合研究所です。しかし父の病をきっかけに、勤務先のインドから、合間を縫って四條畷に戻ってくる機会が増えました。

 

そこで、改めて四條畷市の行政計画、過去のデータなど、あらゆることを調べてみました。すると見えてきたのは、市の改革が全く進んでおらず、人口は減少の一途を辿り・市の経済状況もワーストに近しい危機的であるという状況です。

この状態が長引けば、四條畷は大変なことになってしまう。それならば、これまで行政と経営の現場での経験を活かし、今すぐにでも生まれ育った地元に貢献したい。人生をかけて四條畷のまちづくりに取り組むことを決意しました。

 

インタビュー_四条畷市1

四條畷市から、地方創生の新しいモデルを発信していく

地方自治体における成功モデルを作り、それを全国に波及していくことで、日本全体を活性化・変革できる。そう考えています。

 

例えば、国が法律を作成する際、その条件として47都道府県すべてに適用できる法律かどうか、という視点が必要不可欠です。ただ、そうなると、そもそも汎用性があるものでないと、全都道府県に適用することは出来ません。結果として、法律として施行されるまでに、長い時間がかかります。

 

しかしながら、市は小さいからこそ例外を作りやすい。状況にあった施策を即座に実行することが可能です。国は前例がなければ、決して前には進みません。四條畷市から、前例を作っていかなければならない。そう考えています。

 

インタビュー_四条畷市2

インターンシップで改革にドライブを

公約で掲げている市の「現役世代人口の増加」という目標を実現する為、インターンシップをテコに、四條畷市を活性化していきたいと考えています。直近に迫った事例をお伝えすると、市制開始50年の節目となる2020年に向けて、大規模なイベントを企画しています。

 

四條畷市が友好都市提携を結んでいるドイツと協力し、オクトーバーフェストの実行を検討しています。実施の際には、資金調達、イベント企画、会場準備、運営、そのすべてに一気通貫で携わっていただくことも可能です。他にも、ふるさと納税の納税金額増加の施策、活用に困っている市内の府営住宅の利用促進、地域通貨プロジェクト等、実現していきたいアイデアは無数にあります。

 

なぜインターンシップなのか?

 

今、四條畷市役所は、「ベンチャー企業」のような環境です。潤沢な資金やアセットはありません。市が掲げるビジョンを刷新し、優秀なメンバーを集め、より大きな変革を実現していく。まさしく企業でいう第二創業期のようなフェーズです。

 

私が市長に就任して真っ先に着手しているのが、市の新産業ビジョンの策定及び、アクションプランの構築です。同時並行で、異例の取り組みではありますが、副市長とマーケティング担当官というポジションを全国公募しています。

 

通例でいくと、これほどの重職は内部登用が一般的です。しかし、行政の枠組みに囚われず、変革を起こす為には、民間で鍛えられ上げれた優秀な人材の採用が必須と考え、着手しました。そしてインターンシップも、学生ならではの感性や新しい視点を市政に取り入れ、市役所的な発想から脱却する重要な一手です。

 

例えば、市の情報を発信する為に、「Instagram」や「Facebook」などのSNSを活用してもいいかもしれません。また、Airbnbのようなサービスも自然と利用する世代でしょうから、市の資産を活用したシェアリングエコノミーみたいな切り口でもいいかもしれません。

 

アイデア次第では、クラウドファンディングを活用して、外部からの資金調達を試み、大きなプロジェクトを発足することだって出来るかもしれません。学生ならではの発想と新しい視点で、四條畷市の変革を加速させて欲しい。そう願っています。

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実現したいことは何か?それを見つけるキッカケに

私はこれまでのキャリアで「仕事を通じて、何を実現するか?」を大事にして、職場や環境を選択してきました。学生の皆さんの多くは、会社や環境を選ぶことに、注力するあまりに、本質である、仕事を通じて、実現したいことに目が向いていないように感じます。

 

もちろん、私もはじめから市長になることや市政改革に着手することを決めていたわけではありません。将来について葛藤した時期ももちろんありました。そのような時に実践したのが「とにかく行動する」ことです。

 

留学したり、6ヶ月間東京のベンチャー企業でインターンシップに参加したり、さまざまな人に会いにいったり」とにかく行動しました。がむしゃらに行動する中で、見えてくるものがあると思うんです。

 

行政を間近に仕事をする機会は学生時代にそうあるものではないと思います。このインターンシップを通じて、新たな気付きや出会いが生まれ、「将来実現したい何か」が見つかることを心から願っています。

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最後に

いかがでしょうか?四条畷市のお話のみならず、キャリアの考え方についても貴重なお話を伺うことができました。「とにかく行動する」ことの大切さを感じていただけた方は、ぜひ自分なりの一歩を踏み出してみてください。

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