「クラウドファンディングとは?」から広がる未来の可能性
インタビュー
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「クラウドファンディングとは?」から広がる未来の可能性

株式会社CAMPFIRE Startups 取締役 田中 駆

「クラウドファンディング」という言葉を知っていますか?

 

これは「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、「インターネットを介して、不特定多数の人々から少しずつ資金を調達すること」を意味します。

 

「世の中のこんな課題を、こんな風に解決したい」「こんな商品やサービスをつくりたい」といった想いやアイデアを持つ人が“起案者”として発信し、そこに共感した人が“支援者”として応援できる。双方にとって手軽に始められることが特徴であり利点となっています。

 

今回取り上げる「株式会社CAMPFIRE Startups」は、国内最大級の購入型クラウドファンディングを運営する「株式会社CAMPFIRE」のグループ会社。スタートアップ(事業創造)領域に特化し、株式投資型クラウドファンディングを運営している会社です。

 

そんな同社で取締役を務める田中 駆(たなか かける)さんに取材を行い、同社の事業内容の特徴をはじめ、同社で長期インターンに参加する魅力、学生へのメッセージなどを伺ってきました。ぜひチェックしてみてくださいね。

 

<プロフィール>
取締役 執行役員 経営戦略本部長 兼 プロダクトマネジメント部長。

横浜市立大学起業戦略コースを卒業後、HRTech企業を中心に複数社にて勤務。法人営業や経営企画、DX推進、新規事業企画などを幅広く経験する。2018年に株式会社TOMOSHIBIを創業し、代表取締役CEOに就任。2019年4月に株式会社CAMPFIREに事業譲渡し参画。2020年7月より株式投資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Angels」の立ち上げに参画し、12月より取締役就任。

「挑戦の機会」を均等に得られるように

―――クラウドファンディングは聞いたことがあっても、「スタートアップ(事業創造)領域に特化した株式投資型クラウドファンディング」というのはピンと来ない学生も多いと思います。まずは、事業内容を理解するところから始めてよいでしょうか。
 

 

「誰かの抱える痛みや歪みを、ビジネスの力で解決したい」「自分たちの生きるこの世界を、より良いものへと変えていきたい」「まだ世の中にない、新しい体験を生み出したい」そんな想いのもと、日々新しいスタートアップが世の中に誕生しています。

 

こうしたスタートアップが事業成長を加速させるために行うのが「資金調達」と言われるものです。そして、資金調達をしたいスタートアップと、投資をしたいエンジェル投資家をつなぐのが、私たちが提供している株式投資型クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE Angels」です。スタートアップが事業内容や今後の成長性をまとめたプレゼン資料をプロジェクトとして掲載し、インターネット上で日本中のエンジェル投資家から資金を集められる仕組みになっています。

 

一般的なクラウドファンディングと異なるのは、社会課題を解決するためにチャレンジしている「スタートアップ」に特化していること。支援者にとっては、「株式投資」というカタチでスタートアップを応援できることが大きな特徴と言えます。自分が応援した企業が成長し、社会をより良いものへと変えていく。そんな実感を得られることも支援者にとってのメリットだと言えるでしょう。

 

 

―――世の中をより良く変えていきたいというスタートアップ企業を応援することができるわけですね。具体的には、これまでどのような事例があったのでしょうか。

 

 

まずは、ある研究開発型スタートアップの事例をご紹介しましょう。

 

この企業は高い技術力があり、特許を取得した技術をいろんなところで活用し、ビジネスを創っていこうとしていました。しかし困っていたのが、「技術力が高いがゆえに、その有用性を投資家に理解してもらいにくい」ということ。私自身、最初にプレゼンを聞いたときはさっぱり分かりませんでした。

 

そこで話し合いを重ね、私たち自身がまずは技術について理解することに努めました。その上で投資家に分かりやすく伝えられるよう資料を作成したところ、希望額以上の出資を集めることができたんです。企業にも非常に喜んでいただけましたし、私たち自身の介在価値を感じることができました。

 

もう一つは、解体工事を手がける会社さんの事例です。

 

今、日本では高度経済成長期に建設されたビルの老朽化が進み、ビルの解体工事が急増しています。その中で、解体工事現場では破片等の飛散に伴う事故も増えています。こうした事故を少しでも減らしたいと、この会社は独自の新技術を開発したのですが、それを社会に普及させるために資金を調達したいという依頼でした。

 

解体工事を手がける会社さんが、資金調達を株式、ましてやクラウドファンディングで行うのはかなり珍しいです。ただ代表の方がとても先進的な方で、また現場の事故をなくしたいという真摯な想いに私たちも共感し、募集をスタートしたんですね。結果的に希望額をはるかに上回る出資が集まりましたし、これを機に新規のお取引や業務提携等も進んだと伺っています。こうした介在価値を提供できることが大きなやりがいです。

 

今後も事例を増やしていくことで、私たちのサービスに興味を持つ企業を増やしていきたいですし、参加するエンジェル投資家の数も増やしていきたいと考えています。
 

 

―――企業の想いに共感し、その企業に寄り添いながら事業成長を支援していく。とてもやりがいのある仕事だということが伝わってきます。
 

 

その通りです。前提として、私たちは資金調達の装置ですから、スタートアップ企業の事業成長のための資金調達をサポートできることはやりがいでもあり、存在価値だと思っています。それに加えて、「インターネット×クラウドファンディング」という特徴が、私たちが世の中に提供できる新たな価値になるのではないでしょうか。

 

 

―――具体的にはどういうことなのでしょう?

 

 

現状、スタートアップ企業の拠点はほぼ東京で、残りが大阪や名古屋、福岡などの大都市にある状況です。こうした都市圏は出資をしてくれるベンチャーキャピタル(VC)も周りに多くあるため、比較的出資を受けやすい状況にあると言えます。逆に地方に行くと、どうしても出資が受けにくい状況になってしまうため、その状況から起業を諦めてしまっている方もいるのではないかと考えています。

 

つまり、日本全国どこで起業しても、資金調達に均等にアクセスできる機会があるかといえば、そうではないわけです。そこに対して、私たちのサービスであれば、インターネットを使ってすべてオンラインで資金調達を完結することができるため、私たちならではの介在価値を提供できるのではないかと思うんです。

 

北海道から沖縄まで、どこにいても資金調達の機会を均等に得られる。これはつまり、資金調達が必要になる挑戦の機会も均等に得られることになります。どんな場所にいても、どんな人でも、均等に挑戦できる社会を実現できる。事業を通じてそんな価値を提供できることも当社ならではのやりがいではないかと思います。

 

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多くの経営者と出会い、視野を広げられる

―――ここからは、長期インターンの導入目的や実施状況について伺っていきます。

 


親会社である「株式会社CAMPFIRE」では以前より長期インターンを活用していましたが、「株式会社CAMPFIRE Startups」としては2021年10月から導入することになりました。導入の目的としては、大きく2点あります。
 

1点目は、純粋に戦力として活躍してもらうため。2020年8月に株式投資型クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE Angels」をリリースして約1年が経ち、徐々に事例も増えてきました。今後は成長をさらに加速させるため、大規模なイベントなども続々と開催していく予定です。他にも企画の種は山ほどあるものの、人的リソースが足りないことで着手できていないことも多々あります。こうした状況から、主体的にガンガン仕事に取り組んでくれるインターン生をお迎えしたいと考えているんです。

 

2点目は、若い方ならではの新鮮な視点を持ち込んでほしいから。私たちがやっているビジネスは、いろんなところに新しいアンテナを立て、新しい業界や業種、新しい技術を知るほか、新しいスタートアップと出会うなど、常に情報をインプットし続けることが重要なんですね。そうやって収集した情報や、新たに出会ったスタートアップについて、学生さんたちにはどのように見え、どう感じたのか。私たちが持っていない視点を持ち込み、組織に刺激を与えてくれることを期待しているんですよ。

 

 

―――インターン生として貴社で働く魅力には、どのようなものがあるでしょうか?
 

 

現時点で経験やスキルがなくても、意欲と主体性があれば、自分次第でどんどん活躍の場を広げていけることが魅力だと思います。どのスタートアップでもそうかもしれませんが、インターン生には決まりきったタスクをお任せするわけではないんですね。

 

例えば「こんなことを実現したい」「この課題を解決したい」といった依頼に対し、自分で考えて行動してみるという環境です。トライアンドエラーを繰り返しながら成果を出すという過程は、大きな成長につながるのではないでしょうか。

 

先ほども申し上げたように、企画の種は山ほどあり、着手できていないことはたくさんあります。また、本人がやりたいといったことに私は基本的にNOと言いません。ただ「自分でやり方を考え、自分の手と足を動かして実現しよう」というだけです。そんな環境ですから、主体性を持って取り組める方には面白い環境だと思いますし、自分次第でどんどん新しい仕事に挑戦できるのは大きな魅力と言えるでしょう。

 

また、スタートアップをはじめ多くの企業と接することになるため、いろいろな経営者と会えることも大きな財産になると思います。多くのスタートアップを支援する中で、経営者がどのようにビジネスを見て、何を感じているのかを知ることができますから。そうやって経営者が見ている視座でビジネスを見る習慣がつくことで、将来、経営者を目指していないとしても仕事をする上で大いに役立つと思います。

 

他にも、行政と連携する機会も増えていますので、行政と連携しながら大きなムーブメントをつくっていく仕事に関われることも貴重な経験となるはずです。インターン生としてではなく、いち社会人の目から見ても他にはない経験を積めると思いますよ。

 

さらに働く上でお互いの相性が良いと感じたなら、長期インターンを経てそのまま採用となる可能性もあります。ぜひチャンスを活かしてほしいと考えています。

 

―――一緒に働く社員のみなさんの様子や、職場の雰囲気についてはいかがでしょうか?

 

 

親会社である「株式会社CAMPFIRE」もそうなんですが、クラウドファンディングには、さまざまな業界・業種を応援するプロジェクトがあるんですね。こうした機能を活かし、「地域活性化したい」「好きな音楽業界を盛り上げたい」「ファッション業界を良くしたい」といった想いを持った人たちが集まってきていますので、バックグラウンドもさまざまな人たちが活躍している印象です。

 

その中でも当社は、株式投資型クラウドファンディングを行っているため、金融に興味がある、新規事業立ち上げやスタートアップに関心がある人が多いと感じます。年齢層も20代から60代まで幅広く、多様性のある組織と言えるのではないでしょうか。自分から積極的にコミュニケーションを取れる人には刺激の多い環境です。

 

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主体的に行動し、自分の可能性を広げよう

―――貴社で取り組む長期インターンは非常に学びが多そうだと感じました。ここからは、貴社が求める人物像について教えてください。

 

 

最も重視するのは、意欲と主体性です。これまでの実績について精度や結果は問いませんし、働き始めてからも失敗したからといって責めることはしません。逆に言えば、失敗を恐れることなくどんどんチャレンジできる方を求めています。

 

ですので長期インターンにエントリーする際には、これまでの人生で主体的に取り組んだエピソードなどをぜひアピールしてほしいです。「学生のうちから起業していました」「学生団体を運営していました」といった特殊な経験である必要は全くありません。学業やアルバイトの経験でも構いませんので、自分の置かれた環境で意欲と主体性を持ち、どのように行動したのかをぜひ教えてほしいです。

 

さまざまなスタートアップと接する仕事ではありますが、起業への興味がなくても大丈夫です。もちろん、将来的に起業を考えている方には学びの多い環境ですが、それ以上に主体的に考えて行動できるかどうかを重視したいと考えています。

 

 

―――ここまで読んできて貴社に興味を持った学生へのメッセージもお願いします。

 

 

自分で考えて何かをやってみたい。自分で努力して何かを成し遂げてみたい。そう考えている方には、良い体験の場を提供できると思いますので、ぜひエントリーを検討してほしいです。大変なこともありますが、成長につながる経験ができるはずです。

 

社員だから、インターン生だからといった垣根はなく、主体的に取り組める人ならどんどんチャンスを掴める環境が当社にはあります。事業内容については、エントリー前に1から100まですべてを理解するのは難しいでしょう。現段階では「スタートアップの資金調達を、クラウドファンディングで支援する」といったことが理解できていて、それが面白そうだと感じたくらいで大丈夫です。

 

 

―――最後に、社会人の先輩として学生にアドバイスがあればお願いします。

 

 

いろいろな人に会い、選択肢をたくさん持つことを大事にしてほしいです。

 

就活を始めるとき、最初から知っている仕事は両手で数えられるくらいだと思います。そんな限られた選択肢から自分に合う仕事を見つけるのは大変ですよね。ではどうやって選択肢を増やすかというと、できるだけ多くの人に会うしかないと思うんです。

 

業界、職種、役職、年次などを問わず、とにかく多くの人に会い、話すことで、いろいろな仕事を知ること。インターンに参加するのでもいいですし、OB・OG訪問をするのも良いでしょう。これまで知らなかった仕事を知れば知るほど、たくさんの選択肢を持つことができ、自分に合う仕事を見つけられるようになります。もちろん、すべての仕事を知り尽くすことはできませんが、知らない道から自分に合うものは見つけられませんからね。ですので、やりたいことが決まっている人もそうではない人も、できるだけ多くの社会人に会って話すことを大事にしてほしいと思っています。

最後に

いかがだったでしょうか?最近では、新型コロナウイルスの感染拡大により「何とかしたい」「助けてほしい」という人がクラウドファンディングを利用する機会も増えているため、「見たり聞いたりしたことがある」「実際に応援してみた」という人もいるのではないかと思います。これまで株式投資型クラウドファンディングを知らなかった人でも、興味を持った人にはぜひチャレンジしてみてほしいと感じました。

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